外国人観光客の訪日目的は何?2015年の観光統計データを読み解く

インバウンド需要、観光立国日本、クールジャパン…
色々な言葉がはびこるが、本当に日本は、日本の飲食店や観光地は、対策が取れているのでしょうか??

2015年、訪日外国人観光客は約2000万人となり、前年比147%の観光客増となりました。この数字だけ見ると、「観光客は増えている!」「来年2016年、2017年と年々増えていく!?」と期待する方が多いですが、果たして、本当に順調でしょうか?JNTO(日本政府観光局)が出している2015年の「JNTO 訪日旅行データハンドブック 2015」から、具体的な数字を確認してみましょう。

JNTO 訪日旅行データハンドブック 2015

訪日観光客の大半はアジア人?

2015年の訪日観光客は約2000万人と前年比147%の増加傾向にあります。
下記のグラフからもこの5年で訪日外国人の人数自体が大きく増えていることがわかります。

訪日外国人の推移

訪日外国人の推移

この2000万人の内訳ですが、データによると訪日者の8割はアジア圏の方です。
上位5位は以下の国々で、括弧にはメインとなる言語を記載します。

  • 中国(中国語簡体字):25%
  • 韓国(韓国語):20%
  • 台湾(中国語繁体字):18%
  • 香港(広東語):7%
  • タイ(タイ語):4%

ちなみに、「多いんじゃない?」と思われガチな、アメリカ人は全体の5%です。ヨーロッパ全体でも6%です。まずは、この「訪日外国人はアジアがほとんどである」という点は、すべての飲食店やサービサーが認識すべきところです。

また、ここで訪日外国人の国別消費額を見てみると面白いです。もちろんアジアが多いのですが、中国と台湾が圧倒的に消費しており、この2カ国だけで半分を占めているのには要注目です。「爆買い」と言われている現象を引き起こしている方たちです。

訪日外国人の国別消費額

訪日外国人の国別消費額

ここから読み取れるのは、

  • 2015年の訪日外国人の多くは1人当たりGDPが10000ドル以下のアジア圏であり、
  • 2016年の訪日観光客は増加する

ことが見込まれます。
ちなみに、これだけ見ると、「日本の観光客の増加はすごい!」と思われガチですが、同じアジアであれば、シンガポール、インドネシア、中国への観光の方が圧倒的に多いです。そして、後述の目的も異なります。(ここがとても重要)


※グラフデータの数値出典
■日本政府観光局 HP http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/pdf/2013_15_tourists.pdf
■国土交通省 観光庁HP http://www.mlit.go.jp/common/001116071.pdf

外国人の訪日目的とは?日本料理?温泉?日本の歴史?

日本には、京都のような町並みでさえも優雅な場所や、金沢のような日本人が見ても面白いと感じる観光スポットが多くあります。そして、なんといっても、日本の料理(和食などの日本料理にかぎらず)は、世界トップクラスの質・サービスは自他ともに認められていることであり、実際の統計データでも、訪日の最もあげられる目的はどの国でも「日本の料理を食べること」が挙げられています。

ここは飲食店の皆様には良い朗報ですね。つまり、外国人観光客で「日本の料理に期待していない人はほぼいない」ということです。さて、この「訪日目的アンケート」は複数回答が可能です。得票数が最も多かったのが、日本料理ですが、第2位の訪日目的というのが大変興味深いです。まず結論から。

  • GDPの高い地域の訪日目的は、日本の自然や温泉を訪問すること
  • GDPの低い地域の訪日目的は、ショッピング

GDPが高い国は「アメリカやヨーロッパ諸国」などを指し、低い国は、上述のアジア圏を指します。
つまり、日本に多くきているアジア圏の人は、主な目的が観光というよりもショッピングである、ということがわかります。

まず、これらを理解して対応をするだけでも、多くの飲食店や観光スポットのスタッフには良いのではないでしょうか。(この目的の違いによって、泊まる場所のおすすめなどまったく変わってきます。)

日本は観光立国になりえるのか?

上述のように、訪日の8割はアジア圏であり、観光地を見て回り日本の歴史や文化に触れるというよりも、ショッピングをしにいきているといっても良いと思います。上述のJNTOのデータを見ると、多くの観光客(訪日アジア人)が東京や大阪の都市に集中していて、アメリカや英国・スペインなどの先進各国が京都などに散らばるのかが理解できます。

  • 果たして、ショッピングをメインとした観光が何年も続くでしょうか??
  • 日本で売っているものは、今後も日本でしか売れないものでしょうか??
  • ものを買ってもらうことが日本のファンを増やすことに繋がるのでしょうか??

今、日本のサービサー(飲食店や観光スポット)がやるべきことの一つは、これらの現状を正しく認識して、「クールジャパン」や「おもてなし」などのような上辺だけの表現ではなく、「自分たちが訪日観光客にできる価値あるサービスとは何なのか?」を確認すべきだと思います。

そして、これはとても難しい事ではありません。
本来日本人だろうが外国人だろうが、価値あるサービスを提供するのは同じであり、異なるのは言語や文化です。そこを理解し、コミュニケーションすることが重要です。繰り返しますが、難しいことではありません。まずは、自分たちの自信をもったサービス・料理などを、「適切」に伝えていきましょう!そのためのお手伝いを多言語コンシェルでは致します。

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